第3節
mama yonir mahad brahma
tasmin garbhaṁ dadhāmy aham
sambhavaḥ sarva-bhūtānāṁ
tato bhavati bhārata
mama — 私の; yoniḥ — 誕生の源; mahat —総物質実体 ; brahma — 至高の; tasmin — その中に;garbham —妊娠; dadhāmi — 創造する; aham —私は;sambhavaḥ — 可能性; sarva-bhūtānām — 全ての生命体の; tataḥ —それ以来; bhavati — ~になる; bhārata — バーラタの息子よ
ブラフマンとよばれる総物質実体は誕生の源であり、わたしがその中に種子をまく。バラタの子よ、そのようにしてあらゆる生命体が生まれ出てくる。
ここにこの世界のことが説明されている。何ごとによらず生起するものは全てクシェートラとクシェートラ・ギャつまり肉体と精神魂の結合によるものである。この物質自然と生命体の結合は、バガヴァーン御自身の力により可能になる。マハト・タットヴァはブラフマンと呼ばれることもあり全物質現象の全原因であり、この物質的原因の全実体の中に三様式は存在する。バガヴァーンがこの全実体を受胎なされ、そして無数の宇宙が創造可能となる。この全実体をヴェーダ文典(『ムンダカ・ウパニシャド』1-1-9)はマハト・タットヴァと記述している。至上主が生命体という種子によってそのブラフマンを受胎なさるのである。土、水、火、空気から始まる24要素は全て物質エネルギーであり、それらはマハド・ブラフマつまり大ブラフンと呼ばれている物質自然を構成している。第7章で説明されているように、その上に上位自然すなわち生命体がある。バガヴァーンの御意志により物質自然のなかに上位自然が混交し、そして物質自然に多様な生命体が誕生するのである。
さそりは米の中に卵を生むので、さそりが米から生まれたと言われることがよくある。だがさそりが誕生した原因は米ではない。別のさそりが卵を生んだのが原因である。同様に生命体が誕生したのは物質自然が原因ではない。種子がバガヴァーンによってまかれたのだが、生命体たちが物質自然から生まれたように見えるのである。このように生命体は過去の活動に応じた幸や不幸を享受するために、物質自然によって作られた様々な肉体を持つのである。この物質界にいる全生命体が顕現した原因は至上主御自身である。