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第47章

ゴーピーたちへのメッセージ

ゴーピーたちはウッダヴァを見て、クリシュナと見間違うばかりのその容姿に気づ きました。彼女たちはウッダヴァが主クリシュナの偉大な献身者であることが分かり ました。ウッダヴァの手は非常に長く、目はちょうど蓮華の花びらのようです。黄色 い衣装を着て、蓮華の花輪をかけ、とても美しい顔です。サールーピャの解放を達成 し、主と同じ身体的様相を現していたウッダヴァは、まさにクリシュナのように見え ました。クリシュナがお去りになった後、ゴーピーたちは朝早くヤショーダーの家を 訪ねることを欠かしたことがありませんでした。ゴーピーたちはナンダ・マハーラー ジとヤショーダーがいつも悲しみに涛うちひしがれているのを知っていたので、ヴリン ダーヴァンの最も尊敬されるべき年上の人物であるナンダ・マハーラージとヤショー ダーを訪ね、尊敬を払うことを第一の務めとしていました。ナンダとヤショーダーは、 クリシュナの友人であったゴーピーたちを見ると、クリシュナを思い出して満足しま した。そしてゴーピーたちもナンダとヤショーダーに会って、喜びました。 

ウッダヴァは身体の様子さえもクリシュナと似ています。それを見て、ゴーピーた ちは彼がバガヴァーンに完全に服従した魂だと考えました。ゴーピーたちは考えましナラ ノー 一このクリシュナにそっくりの男の子は誰なの。目も蓮華の花びらのようでクリシュナにそっくり。高い鼻と素敵な顔尋そして微笑み方も同じ。どこから見てもクリシュ ナとそっくり。あの肌の黒いシャーマスンダラと瓜ふたつだわ。服の着方も一緒だ し.・・・この子、どこから来たのかしら。この子と結婚出来る幸せな女の子は誰か -)・-)合わ」

そのようにゴーピーたちは話し合っていました。ウッダヴァに対する好奇心で彼女 たちはいつぱいになりました。ゴーピーたちは田舎の少女で、あまり洗練されてはい ませんでした。ですから彼女たちはウッダヴァを取り囲みました。 ウッダヴァがクリシュナからのメッセージを持って来たことを知ると、ゴーピーた ちはとても喜び、人目につかないところにウッダヴァを呼んで座らせました。彼女た ちは、ウッダヴァと気がねなく話せたら、と思いました。知らない人たちに邪魔され たくありませんでした。ゴーピーたちは慎ましい言葉で、丁寧に話しました。 「あなたはクリシュナととても深い付き合いをしていらっしゃるんでしょう。ですか らクリシュナがお父さんやお母さんを慰めるためにあなたをヴリンダーヴァンに送っ たんですね。家族の愛というものは、とても強いものですね。放棄階級を受け入れた 偉大な聖者でさえも家族の人々を放棄することは難しいことです。ですからクリシュ ナはあなたをお父さんとお母さんのところに送ったんですね。そうでなければ、クリシュナはヴリンダーヴァンでは他に何もすることがありませんものね重ク鵬ノシュナは 今街にいますわ。クリシュナにとって、ヴリンダーヴァンの村の牛や牧草地のことな んてもう心配する必要ありませんわ。街に住んでるクリシュナにとって、もうヴリン ダーヴァンなんて用はありませんものね。 

「クリシュナの家族でもない人に、クリシュナが用なんてあるはずきっとありませ ん。何か自分の役に立つことがなかったら、人は家族でない人と付き合うことなんて ありません。人の妻に執着している場合は特にそうです。蜂は蜜を楽しみたいときだ けしか花に関心がありません。クリシュナも同じです。他の人を必要とするのは感覚 満足のときだけなんです。売春婦がお金のなくなった男を捨てるのはあたりまえです。 国民は、国が自分を十分守ってくれないと思ったとき、国を離れます。卒業した生徒 は、先生や学校との関係を捨ててしまいます。聖職者は信者から報酬をもらった後で は、信者のことを忘れてしまいます。果物の季節が終わってしまえば、烏は木にはも う用はありません。主人から食べさせてもらえば、客は主人との関係を捨ててしまい ます。森の火事の後、草がなくなると、鹿や他の動物は森を出て行きます。男の人も 女友達を楽しんでしまえば、彼女を捨ててしまいます」 このようにして様々な例をあげて、ゴーピーたちはクリシュナを間接的に非難しました。

ウッダヴァは、ヴリンダーヴアンのゴーピーたちがただクリシュナのこと、クリシュ ナの子供の頃の思い出に没頭していることを理解しました。ゴーピーたちはグリシュ ナのことについてゥツダヴァと話あっていると、家事のことも忘れ果ててしまいまし た。クリシュナヘの関心が募るにつれて、彼女たちは自分自身さえも忘れてしまいました。

あるゴーピー(ラーダーラーニー)は●クリシュナとの以前の付き合いを思い出し、 クリシュナの思いにあまりにも没頭してしまいました。そのとき、一匹の蜂があたり を飛び回り、ラーダーラーニ1の御足に触れようとしました。彼女はその蜂に話し始 めました。他のゴーピーたちはクリシュナのメッセージを伝えに来たウッダヴァと話 していたのですが、シュリーマティー・ラーダーラーニーはその蜂がクリシュナから のメッセージを運んで来たものと思い、蜂に話しかけました。 「蜂さん、あなたはいつも花の蜜を飲んでいて、クリシュナもあなたは同じ性格だわ。 だからクリシュナがあなたをメッセンジャーに選んだのね。あなたのヒゲには赤いク ンクムの粉がついているわ。クリシュナが私の恋敵の胸を抱いていたときに、クリシュ ナの胸の花輪にクンクムの粉が付いたのね。あなた、クリシュナの花輪に触れて、上ゲを赤くして、きっといい気になってるんでしょうね。あなた雲私の足に触れようと しているわね。クリシュナからのメッセージは持って来たんでしょうね。でも蜂さん、 一つ言っとくわよ・いい、私の足に触れないで。私、クリシュナのことなんて信じて ないの。あなたなんて、信頼出来ないクリシュナに仕えている、頼りにならない召使だわ」

シュリーマティー・ラーダーラーニーは。メッセージを伝えに来たウッダヴァを非 難するために、蜂にわざと皮肉な言葉を言ったようです。ウッダヴァがクリシュナに 似ていただけでなく、彼がクリシュナと対等であることをシュリーマティー・ラーダ ーラーニーは間接的に理解しました。このようにしてラーダーラーニーは、ゥツダヴァ がクリシュナ自身と同じように信頼出来ないことを示したのです。シュリーマティー・ ラーダーラーニーは、なぜクリシュナ自身とクリシュナのメッセージを運んで来たウッ ダヴァを信頼出来ないか示したいと思いました。 

シュリーマティー・ラーダーラーニーは蜂に語りました。 「あなたの主人クリシュナはあなたと本当に同じね。花にとまって少し蜜を味わうと、 すぐに別の花のところに飛んで行って、また蜜を味わうのょ。あなたって、クリシュ ナに似ているわ。クリシュナは一度しかくちびるをくれなかったわ。クリシュナは私たちから去って行ったわ。幸運の女神、ラクシュミーは蓮華の花に囲まれていつもク リシュナに仕えているわ。ラクシュミーはクリシュナの性格を知っていながら、どう してクリシュナなんかに心を奪われているのかしら。どうしてクリシュナを愛してな んかいられるのかしら。でも、私たちは、幸運の女神よりは少しは頭がいいのよ・私 たちはクリシュナにも、クリシュナのメッセージを運んで来た人にも、だまされたり しないわ」

権威者の見解によると、幸運の女神ラクシュミーはシュリーマティー・ラーダーラ ーニーの従属的な拡張体です。クリシュナが無数のヴィシュヌ・ムルティー拡張体を お持ちでいらっしゃるように、クリシュナの喜びのエネルギーであるラーダーラーニ ーも幸運の女神の無数の拡張体を持っていらっしゃいます。ですから幸運の女神ラク シュミージーはいつもゴーピーの段階に達したいと望んでいるのです。 

シュリーマティー・ラーダーラーニーは言葉を続けます。 「馬鹿な蜂ね。クリシュナのことを讃えて、私を喜ばせて、何か褒美でも欲しいんで しょう。でもそんなことしても無駄よ・私たちにはもう何もないんだから。私たち、 家も家族も捨てたのよ。私たち、クリシュナのことはよく知っているわ。あなたなん かよりもっと知ってるのょ。だからあなたが話してくれるような事なんて、もう全部知っているわよ・クリシュナは今はもう街に住んでいて、アルジュナの友だちとして 知られるようになっているわ。クリシュナにはもうたんさんの新しいガールフレンド がいるんでしょうね。ガールフレンドはクリシュナと付き合って幸せなんでしょうね。 

彼女たちの胸の中で燃えている気持ちをクリシュナが満たしてくれるんだから、彼女 たちきっと幸せでしょうね。彼女たちのところに行って、クリシュナのことを讃えた ら、きっと喜ばれて、何か褒美でももらえるわょ。あなたは私におべっかを使って、 私の機嫌を取ろうとしているみたいね。だからあなたは私の足に頭をつけたんでしょ う。でも私をごまかそうとしても駄目よ◎あなたがあの信頼出来ないクリシュナから のメッセージを持って来たのは分かっているのょ。私を一人にしておいてちょうだい・ 「あなたが仲たがいした人の仲を取り持つのが得意なことぐらいは知っているわょ。 でも言っておくわよ・あなたも、あなたの主人のクリシュナも、私は信じていません からね。私たちはクリシュナのために家も捨て、夫も子供も親戚も捨てたのよ。でも クリシュナって、私たちのことなんかまるでお構いなしで、振り向いてもくれないの よ◎私たちがまたクリシュナのことを信じられると、あなた思って?クリシュナって 若い女の子といつも一緒でいなければ気がすまないの。クリシュナって、そんな人な のよ。クリシュナはマトゥラーで、もう無邪気な田舎の女の子が回りにいないんで、きっと困っているでしょうね重ク咽/シュナは家柄のいい人たちに囲まれて、若い女の 子となかなか親しくなれなくて苦しんでいるに違いないわ。たぶん、あなたは私たち をマトゥラーに連れて行くために来たんでしょうね。でもクリシュナが私たちに来て 欲しいなんて思涛7わけがどうしてあるの。クリシュナはヴリンダーヴァンやマトゥラ ーばかりじゃなく、宇宙中の女の子を全て魅惑することが出来るのよ・クリシュナの 魅惑的な微笑み、クリシュナの眉の動き、・・・クリシュナは天の女の人も中間の惑 星の女の人も地獄の女の人も、どんな女の人も呼ぶことが出来るわ。最も偉大な幸運 の女神、マハー・ラクシュミーもいつもクリシュナに仕えようとしているわ。宇宙中 の女の人に比べたら、私たちなんて。私たちなんて、いてもいなくてもいっしょよ・ 

「クリシュナは自分で自分が寛大だと言ってるわ。偉大な聖者たちもクリシュナの ことを讃えているわ。でも私たちしいたげられて、クリシュナに無視されているのよ・ だからクリシュナが私たちに慈悲をくれないかぎり、クリシュナが寛大な人だなんて、 私たち認めないわ。蜂さん、クリシュナのメッセージを運んで来るなんて、あなたお 馬鹿さんね。あなたはクリシュナのことをよく知らないのょ。クリシュナが人の気持 ちを全然分かってくれないってことも、クリシュナのハートがまるで石みたいだって ことも、あなた知らないんでしょう。今世だけではないのよ・クリシュナって前世でも、そうだったんだから。私たちはポウルナマーシーお婆さんから聞いたのょ。クリ シュナは前世でクシャトリャの生まれで、ラーマチャンドラという名前だったの。ク リシュナがラーマチャンドラだったとき、彼は友だちの敵、ヴァーリーをクシャトリ ャにふさわしくない方法で殺したのよ。彼はまるで猟師みたいにヴァーリーを殺した んだから。猟師は安全なところに隠れておいて、そして面と向かわずに動物を殺すで しょう。主ラーマチャンドラもクシャトリャらしく正々堂々とヴァーリーを殺すべき だったのよ・でも友だちに入れ知恵されて、木の後ろに隠れながらヴァーリーを殺し たの。ラーマチャンドラはこんなふ謡うにクシャトリャの宗教原則からそれたのよ。ま たラーマはシーターにあまりにも魅かれていたので、ラーヴァナの妹のシュールパナ カーを醜い女にしてしまったのよ・シュールパナカーの鼻と耳を切り落としてしまっ たんだから。シュールパナカーはラーマに親しい交際を頼んだのよ・だからラーマは クシャトリャとして彼女の望みをかなえてあげなければならなかったのょ。ところが ラーマはシーターにあんまり魅かれていたんで、シーターデーヴィーのことが忘れら れず、シュールパナカーの鼻と耳を切り落としてしまったのょ。クシャトリャとして 生まれる前、クリシュナはヴァーマナという名の小人のブラーフマナだったの。彼は そのときバリ・マハーラージに施し物を頼んだの。バリ・マハーラージはとても寛大だったので、持ち物を全部彼にあげたんだけど、クリシュナは人の好意も分からない で、ヴァーマナデーヴァの姿に化身して、バリ・マハーラージを捕らえて、まるでカ ラスのようにバリ・マハーラージをパーターラ王国まで踏み落としたのよ。クリシュ ナってどんな人か、私たち全部知ってるわよ・クリシュナがどんなに人の好意を理解 出来ない人かも知っているわょ。でも、どうしたのかしら。彼がどんなに残酷で、ハ ートがまるで石みたいでも、つい彼のことを話してしまうの。クリシュナのことを話 しているのは私たちばかりじゃなく、偉大な聖者たちもクリシュナのことを話してい るわ。私たちヴリンダーヴァンのゴーピーは、もうあの肌の黒い男の子と親しくした くはないんだけど、彼のことをどうしたら忘れられるのかしら、どうしたら彼のこと を話さなくなるのかしら」 

クリシュナは絶対者でいらっしゃるので、主がいわゆる「不親切」なことをされて も、それは主の親切な行動と同様に素晴らしいものなのです。聖者や、ゴーピーのよ うな偉大な献身者たちは、どのような状況の中でもクリシュナを捨てることが出来ま せん。ですから主チャイタンニャは祈りの中で、「クリシュナょ、あなたは自由なお方です。そしてあなたは何にも依存していらっしゃ いません。私を抱き締めて下さってもけつこうです。あなたの御足で踏みつけて下さってもかまいません。あなたの望み通りになさって下さい。これから一生、私にもう会っ て下さらなくてもけつこうです。そうして私が悲しみに嘆いても、かまいません。で も私が愛し続けるのは、あなただけです」 とおっしゃいました

シュリーマティー・ラーダーラーニーは言葉を続けます。 「クリシュナのことは聞いてはいけない、と私思うわ。クリシュナの超越的な活動の 甘露が一滴でも耳に入ったら、魅惑も拒否も、そんなことどうでもよくなってしまう わ。人は物質的執着の汚れから自由になると、この物質界、家族、家、妻、子どもや、 その他の愛着の対象に対する執着を捨ててしまうわ。全ての物質的な持ち物がなくな れば、親戚も自分自身も不幸を味わうわ。すると人はクリシュナを求めてさすらうよ うになるのょ。人間の姿でクリシュナを求めるか、他の姿でも、烏となってクリシュ ナを求めるかも知れないわ。そして自分から進んでに托鉢僧になるのよ・クリシュナ 自身、そしてクリシュナの御名、クリシュナの性質、姿、遊戯、持ち物、側近を本当 に理解することはとても難しいことだわ。 「ど競うかクリシュナのことはもう話さないでちょうだい。他のことを話しましょう よ。もう私たち、駄目だわ。猟師の奏でる甘い音に魅きつけられた森の雌鹿のようよ。 私たち、森の雌鹿と同じようにクリシュナの甘い言葉に魅きつけられて、クリシュナジ の爪の輝きのことを何度も何度も考えているの。私たち、クリシュナが欲しくて欲し↑ くてしょうがないの。ますます、その気持ちが燃え上がっていくの。だから、もうクッ リシュナのことはこれ

「クリシュナょ、あなたは自由なお方です。そしてあなたは何にも依存していらっしゃ いません。私を抱き締めて下さってもけつこうです。あなたの御足で踏みつけて下さってもかまいません。あなたの望み通りになさって下さい。これから一生、私にもう会っ て下さらなくてもけつこうです。そうして私が悲しみに嘆いても、かまいません。で も私が愛し続けるのは、あなただけです」 とおっしゃいました。 

シュリーマティー・ラーダーラーニーは言葉を続けます。 「クリシュナのことは聞いてはいけない、と私思うわ。クリシュナの超越的な活動の 甘露が一滴でも耳に入ったら、魅惑も拒否も、そんなことどうでもよくなってしまう わ。人は物質的執着の汚れから自由になると、この物質界、家族、家、妻、子どもや、 その他の愛着の対象に対する執着を捨ててしまうわ。全ての物質的な持ち物がなくな れば、親戚も自分自身も不幸を味わうわ。すると人はクリシュナを求めてさすらうよ うになるのょ。人間の姿でクリシュナを求めるか、他の姿でも、烏となってクリシュ ナを求めるかも知れないわ。そして自分から進んでに托鉢僧になるのよ・クリシュナ 自身、そしてクリシュナの御名、クリシュナの性質、姿、遊戯、持ち物、側近を本当 に理解することはとても難しいことだわ。 

ラーダーラーニーは蜂のメッセンジャーと言葉を交わしていますが、クリシュナをへ 非難すると同時にクリシュナのことを話すのをどうしても止めることが出来ません。ち これはマハーバーヴァと呼ばれる最高の超越的桃惚の徴候です。この桃惚的なマハー韮 バーヴァはラーダーラーニー自身とラーダーラーニーの交際者にしか現れません。シュピ リーラ・ルーパ・ゴースワーミーやヴィシュヴァナータ・チャクラヴァルティー・タヱ ークルのような偉大なアーチャーリャはシュリーマティー・ラーダーラーニーのマハ ーバーヴァの話しを分析して、ウドグールナ(当惑)、シャルパ・プラティシャルパ誌 (様々な方法で話すこと)などの感情を説明しています。ラーダーラーニーの中には

ウジヴァラすなわち神の愛の最も輝く宝石を見ることが出来ます。ラーダーラーニー が蜂と話していたとき、蜂はしばらくあたりを飛び回っていましたが、突然蜂が彼女 から姿を消しました。彼女はクリシュナとの離別に苦しみの中で悲嘆に暮れていまし たが、蜂と話すことによって快惚を感じていました。しかし蜂が姿を消すと彼女は気が狂(一たようになりました。そして蜂がク耐/シュナのところに帰って行って自分が クリシュナのことを悪く言っていたことをクリシュナに全て告げるかも知れない、と 考えました。彼女は、「クリシュナはそんなことを聞くと悲しむだろう」と思いまし た。そのように思うと、彼女はまた桃惚に浸りました。 

しばらくして、蜂はあたりを飛び回りながら、またラーダーラーニーのところに帰っ て来ました豆「クリシュナはメッセンジャーからひどいことを聞かされたのに、まだ私に優しくし てくれているわ。クリシュナはとても優しいので、蜂をまた送って、私を彼のところ に連れて行ってくれるんだわ」 と、ラーダーラーニーは考えました。シュリーマティー・ラーダーラーニーは今回 はとても注意して、クリシュナのことを悪く言わないように話しました。 「蜂さん、帰って来てくれてどうもありがとう。私がクリシュナのことを悪,く言った ことをあなたが伝えたのに、クリシュナはとても優しくて、またあなたを私のところ に送ってくれたのね。愛しい蜂さん、欲しいものがあったら何でも言ってちょうだい・ あなたに親切にしてもらったんだから、お返ししなくてはね。クリシュナがここに来 ることが出来ないので、私をクリシュナのところに連れて行くために、あなたが飛ん
で来てくれたのね。彼はマトゥラーで新しいガールフレンドに囲まれているんでしよ 漏りね。でも小さなあなたが、どうして私をクリシュナのところに連れて行けるの。ク リシュナは幸運の女神と休んでいるのょ。クリシュナは胸に幸運の女神を抱き締めて いるのよ・どんなふうにしてあなたは私とクリシュナが会うのを助けてくれるつもり なの。まあ、いいわ、そんなこと。私がクリシュナのところに行くとか、あなたをク リシュナのところに送るとか、そんなことどうでもいいわ。ただ、クリシュナがマトゥ ラーでどうしているのか、教えてちょうだい。お父さんのナンダ・マハーラージや慈 しみ深いヤショーダーのことをクリシュナがまだ覚えているか、教えてちょうだい・ クリシュナはまだ、牛飼いの友だちや、かわいそうな私たちのことも覚えていてくれ るかしら。クリシュナはきっと時には私たちのことを歌っていると思うわ。私たちは クリシュナの召使のようにして、何の見返もなく仕えてきたわ。クリシュナが帰って 来て、私たちを抱いて下さることなんて、あるんでしょうか。彼の体はいつもアグル の香りがしていたわ。今まで言ったこと、クリシュナに聞いて下さらないかしら」

ウッダヴァはラーダーラーニーのそばに立ち、クリシュナを思って気が狂ってしまっ たかのようにラーダーラーニーが話している様子を聞いていました。マハーバーヴァ という最高の暁惚の中でいつもゴーピーたちがクリシュナのことを思っていたことを知って、ウッダヴァはたいへん驚きました。ウッダヴァはクリシュナからのメッセー ジの手紙を持っていました。ウッダヴァはそのメッセージをゴーピーたちに伝えて、 彼女たちを慰めようとしました。 「ゴーピーたちよ、今あなたたちの人生が完成しました。あなたたちは、みんなバガ ヴァーンの素晴らしい献身者です。ですからあなたたちは、全ての人から崇拝を受け るに値する方々です。あなたたちの心はいつもヴァースデーヴァ、クリシュナに没頭 しているので、あなたたちは三界を通じて崇拝を受けるに値するお方たちです。敬度 な活動の目的はクリシュナです。そして施し物をする、苦行の誓いに厳格に従う、厳 しい苦行を行う、祭火を燈すなどの儀式の目的もクリシュナです。様々なマントラを 唱えること、ヴェーダを読むこと、感覚を支配すること、心を膜想に集中させること などについても、その背後の目的はクリシュナです。これらは自己の悟りと人生の完 成を達成するためのプロセスの数々です。しかし実際には、それらはただクリシュナ を悟るためにあるものです。バガヴァーンの超越的愛の奉仕を行うためのものなのですこれは一バガヴァッド・ギーター』の最終的な教えでもあります。自己の悟りの方 法には様々なものがあるのですが、クリシュナは、最終的には全てを放棄し、ただクリシュナに服従することを勧めていらっしゃいます。他の全てのプロセスは、クリシュ ナの蓮華の御足に最終的に服従する方法を教えるためにあります。主はまた『バガ ヴァッド・ギーター』で、真剣な人は知恵を持ち苦行を行う中で何度も生まれ変わっ た後に服従のプロセスを完成することが出来るとおっしゃっています。 ゴーピーたちの生活の中に、そのような苦行の完成が完全に現れているのが見られ ます。ですからウッダヴァはゴーピーたちの超越的な段階を見て完全に満足しました。 

ウッダヴァは言葉を続けます。 「ゴーピーたちよ、クリシュナとの交際の中であなたたちが育んだ心情は、偉大な聖 人聖者にとってさえも得難いものです。あなたたちは人生の最高段階を達成しました。 あなたたちがただクリシュナだけに心を集中し、そしてバガヴァーンのために家族も 家も、親戚、夫や子供も捨てて、クリシュナだけを得ようと決心したことは、あなた たちにとっての真の恩恵です。あなたたちの心はいつも至上魂、スーパーソウルでい らっしゃるクリシュナに没頭しているので、普遍的な愛があなたたちの中に自動的に 現れたのです。私はたいへん恵まれています。あなたたちのおかげで、このような状 態のあなたたちを見ることが出来たのですから。私はとても恵まれていると思います」 

ウッダヴァがクリシュナからのメッセージがあると言うと、ゴーピーたちは自分たちが高い立場にいるということよりも、クリシュナからのメッセージのほ毒フに関心が わきました。自分たちが高い立場にいることを讃えられるのをゴーピーたちはあまり 喜びませんでした。ゴーピーたちは、ウッダヴァがクリシュナからもらってきたメッ セージを聞きたい思いでいつぱいになりました。 

ゥツダヴァはクリシュナからのメッセージの手紙を直接ゴーピーたちに渡すのでは なく、彼女たちに読んで聞かせました。そのメッセージは非常に権威ある言葉で書か れていました。ですから、ゴーピーたちばかりではなく、全ての経験的哲学者も、バ ガヴァーンの様々なエネルギー全てが本来神の純粋な愛を具えていることを知ること が出来ます。ヴェーダの知識によって、至上主が様々なエネルギーを持っていらっしゃ ることが理解出来ます。またクリシュナにとってゴーピーたちはとても内密な友人だっ たので、手紙を書きながら主は動揺してはっきりと書くことが出来ませんでした。ブ リハスパティの弟子であったゥツダヴァは知性が鋭かったので、メッセージの手紙を 渡すのではなく、自分で読んで説明したほうが良いと判断しました。 

ウッダヴァは言葉を続けました。 「バガヴァーンは、『親愛なる友、ゴーピーたちよ、私は全ての場所にいます。です から、私たちが別れているということは決してありません。いつも、どこでも、どん な状況でも、私たちはいつも一緒です。そのことを忘れないで下さい』とおっしゃいました。

クリシュナが全ての場所に遍在していらっしゃることは『ハガヴァッド・ギーター』 の第七章や第九章で説明されています。クリシュナは非人格的様相によって全ての場 所に遍在していらっしゃいます。全ては主の中に存在しているのですが、主自身が全 ての場所にいらっしゃるわけではありません。第七章では、五大要素(土、水、火、 空気、空間)と三精妙要素(心、知性、偽我意識)は主の下位エネルギーであり、そ れとは別にさらに優れたエネルギーがあり、それが生命体であることが説明されてい ます。生命体もまたクリシュナの直接的な部分です。そのようにクリシュナは物質エ ネルギーと精神エネルギーの両者の源でいらっしゃるのです。主はいつも原因と結果 として全てのものの中に存在していらっしゃいます。ゴーピーたちばかりではなく、 全ての生命体がクリシュナとあらゆる状況の中で常に分かちがたく結ばれているので す。しかしゴーピーたちはクリシュナとのその関係を完全に知っているのですが、マ-ヤーに束縛されている生命体はクリシュナのことを忘れ、そして自分自身はクリシュ ナとは何の関係もないと考えているのです。

ですからクリシュナヘの愛すなわちクリシュナ意識は、物事の神髄を知り抜いた真 の知識です。私たちの心が無になることは決してありません。心の中には常に何らか の思考が存在しています。そして思考の対象はクリシュナの前述の八種のエネルギー (五大要素と三細妙要素)の範囲外に出ることが出来ません。思考に関するこのよう な哲学的側面を知っている人が真の智者であり、そのような智者がクリシュナに服従 します。ゴーピーたちの中にこの完全な知識の完成段階が凝縮されています。ゴーピ ーたちは頭で単にそのように考えていたのではありません。彼女たちの心はいつもク リシュナに集中していました。心もクリシュナのエネルギーです。ですから、考える 能力、感じる能力、行動する能力、意志する能力を持つ人は、クリシュナから離れる ことが出来ません。その永遠の関係を理解出来る段階こそがクリシュナ意識と呼ばれ ます。クリシュナとの永遠の関係を理解出来ない病的な段階が汚れた段階、すなわち マーャーです。ゴーピーたちは純粋な超越的知識の段階にいたので、彼女たちの心は いつもクリシュナ意識で満たされていました。たとえば火と空気を分けることが出来 ないように、クリシュナと生命体も分離することは出来ません。生命体にとって、ク リシュナを忘れることは正常な状態ではありません《》ゴーピーたちはいつもクリシュ ナのことを考えていました。ですから彼女たちは完全知識という絶対的段階に達して いたのです。経験哲学者と呼ばれている人々の中には、バクティの道は知性の低い人 のためのものに過ぎないと考えている人々もいます。しかし知識人と呼ばれる人も、 バクティの段階に達していなければ、その知性は純粋ではなく、不完全なものなので す。クリシュナとの永遠の関係の完成段階は離別の愛です。しかしそれもまた幻想で す。なぜならクリシュナとの離別はありえないからです。ゴーピーたちは幻想的な人 生の段階にいたのではありません。哲学的な観点からも、ゴーピーたちにはクリシュ ナとの離別はありませんでした。 

宇宙顕現もクリシュナと離れているわけではありません。「私から離れているもの はない・全宇宙顕現が私に依存していて、私とは離れていない。創造以前から私は存 在している」・・・このことはヴェーダ文典で確認されています。創造以前にはナー ラーャンだけしか存在していませんでした。ブラフマーもシヴァもいませんでした。 全宇宙顕現は物質自然の三様式によって動かされています。激情の様式の化身である ブラフマーがこの宇宙を創造したと言われていますが、しかしブラフマーは第二次的 な創造者で、根源の創造者はナーラーャンです。シャンヵラーチャーリャもそのことを確認しています。ナーラーャンはこの宇宙顕現を超越していらっしゃいます。 

クリシュナは様々な化身を拡張することによって、全宇宙顕現を創造、維持、破壊 されます。全てはクリシュナです。そして全てはクリシュナに依存しています。しか しクリシュナをマーャー(幻想)と呼ばれる物質エネルギーの中で知覚することは出 来ません。しかし精神エネルギーの中では、私たちはクリシュナを全ての段階、あら ゆる状況で知覚することが出来ます。ゴーピーたちがこの理解の完成段階を示してい ます。宇宙顕現は完全にクリシュナに依存しているのですが、クリシュナはいつも宇 宙顕現から離れていらっしゃいます。同じように物質の体は精神の存在を基礎として 発展するものなのですが、生命体は物質的な束縛された生活を完全に超越しています。 夷ガヴァッド・ギーター』では、全宇宙顕現が生命体の母であり、クリシュナが父 であると受け入れられています。胎内に生命体を入れることによって父が母を受胎さ せるように、クリシュナは物質自然の胎内に生命体を注入されるのです。生命体は様々 な果報的な活動によって様々な体を持って生まれてきます。しかしどのような状況で も生命体そのものは物質的な束縛された生活から離れています。 

私たちは自分の体を研究してみれば、生命体がこの体という椎とは別のものである ことを理解することが出来ます。体が行う全ての活動は物質自然の三様式の相互作用
によって起こります。私たちは。体が毎瞬間様々に変化していることを理解出来ます。 しかし精神魂はそのような変化には全く影響されないのです。生命体は物質自然の作 用を創造することも、破壊することも、妨害することも出来ません。そのように、生 命体は物質的な体に囚われて、覚醒、睡眠、無意識という三状態に束縛されています。 心はそられの三状態のいずれの中でも活動することが出来ます。生命体は、覚醒状態 にあるときに真実でないと知覚した物を、睡眠状態や夢想状態で真実であると見るこ ともあります。ですから生命体は一つの対象を、状況によっては真実であると受け入 れたり、また真実でないと知覚したりすることもあると結論出来ます。これらの事柄 はサーンキャ・ョ-ギーと呼ばれる経験哲学者たちよって研究されています。正しい 結論に到達するために、サーンキャ・ヨーギーたちは厳しい苦行と謹厳生活を行いま す。サーンキャ・ヨーギーたちは感覚を支配し、放棄を行わなければなりません。 

人生の究極目標に到るためのこれらの様々な方法は川に比愉されます。クリシュナ は大海です。川が海に向かって流れて行くように、知識を求める全ての努力はクリシュ ナに向かって流れて行きます。そのような努力を何生涯も繰り返した後にクリシュナ に到達した人は完成段階に達することが出来ます。クリシュナは『バガヴァッド・ギ ーター』で、「全ての者は私を悟る道を追究している。しかしバクティ以外の道を行く者にとって私を悟る道は非常に厳しいものである」とおっしゃっています。バク ティの段階に到達しない限り、クリシュナを理解することは不可能です。 

カルマ・ヨーガ、ジュニャーナ・ヨーガ、バクティ・ヨーガという三つの道が『バ ガヴァッド・ギーター』で説明されています。果報的な活動に強く執着している者に 対しては、バクティの道に近づいて行くように活動することが勧められています。そ して経験哲学に耽ることに執着している者に対しては、バクティを悟ることが出来る ように活動することがアドバイスされています。カルマ・ヨーガは普通のカルマとは 違います。そしてジュニャーナ・ヨーガも普通のジュニャーナとは違います。主が『バ ガヴァッド・ギーター」でおっしゃっているように、最終的には献身奉仕を行う以外 にはクリシュナを悟る方法はありません。ゴーピーたちはクリシュナ以外のものは知 ろうとさえしませんでした。このようにゴーピーたちは献身奉仕の完成段階に到達し ていたのです。ヴェーダにも、ただクリシュナを知ることによって全ての知識を得る ことが出来ると述べられています。 

クリシュナは言葉をお続けになります。 「絶対者の超越的な知識はあなたたちにはもはや必要ではありません。あなたたちは 生まれたばかりの頃からいつも私を愛していました」絶対真理の知識は物質存在からの解放を得ようとしている人に特に必要とされます《』 クリシュナの愛を達成した人はすでに解放の段階に到達しています。『バガヴァッド・ ギーター』に述べられているように、純粋な献身奉仕を行っている人は解放の超越的 段階に到達しています。ゴーピーたちは物質存在の苦しみを全く感じていませんでし た。彼女たちが感じていたのはクリシュナとの離別です。クリシュナはおっしゃいました。

ゴーピーたちは膜想の完成段階にいました。ヨーギーたちは一般に主への献身奉仕 を行うよりも腹想のほうを好んでいます。ョ-ギーたちは、ヨーガの完成が献身奉仕 を達成することであることを知らないのです。ゴーピーたちはクリシュナを常に膜想 していました。そして『バガヴァッド・ギーター』によれば、その膜想こそが最高の 膜想であると確認することが出来ます。クリシュナは女性の心理をよく知っていらっ しゃいました。女性は愛する人が目の前にいるよりも、愛する人と離ればなれになっ ているほうが、唄想の中でより深く思いを募らせるものです。ゴーピーたちのようにいつも三昧の中にいる人がクリシュナの蓮華の御足を確実に達成するということを、 クリシュナは彼女たちの振舞いを通して人々に教えようとされたのです。 

主チャィタンニャは一般の人々にヴィプラランバ・セーヴァをお教えになりました。 ヴィプラランバ・セーヴァとは離別感の中でバガヴァーンに奉仕をすることです。六 人のゴースワーミーたちもまた、離別感に浸り切っているゴーピーたちの感情によっ て、クリシュナを崇拝することを教えています。シュリーニヴァーサーチャーリャは 六人のゴースワーミーへの祈りの中で、これらの事柄を非常に明らかに説明していま す。シュリーニヴァーサーチャーリャは、ゴースワーミーたちがゴーピーたちの雰囲 気の中で超越的感情の海に浸っていたと歌っています。六人のゴースワーミーたちは ヴリンダーヴァンに住んでいたとき、 「クリシュナはどこですか。ゴーピーたちはどこですか。シユリーマテイー・ラーダ ーラーニIはどこですか」 

と叫びながらクリシュナを探していました。六人のゴースワーミーたちは、 「私はもうラーダーラーニーとクリシュナを見たので、人生が完成した」 とは決して言いませんでした。このように六人のゴースワーミーたちの目的は決し て達成されなかったのです。彼らはラーダーラーニーやクリシュナには決して会えま せんでした。ラーサダンスのとき、クリシュナとのラーサリーラーに参加出来なかっ たゴーピーたちは、ただクリシュナを思いながら体を棄てました。離別感の中でクリ シュナヘの思いに没頭することが最も早くクリシュナの蓮華の御足に到達する方法な のです。クリシュナ自身がおっしゃっているように、ゴーピーたちは離別感の強さを よく知っていました。彼女たちはクリシュナ崇拝の最も超自然的な方法を経験してい るのです。クリシュナは遠いところにいらっしゃるのではなく、いつも自分たちとと もにいて下さることを理解して、ゴーピーたちは悩みから大きく解放されました。 

ですからゴーピーたちは嬉しそうにウッダヴァを歓迎し、話し始めました。 「ヤドゥ王家をいつも苦しめていたカムサ王が殺されたことは聞きました。それを聞 いて安心しました。クリシュナは献身者の望みを全てかなえて下さるので、ヤドゥ王 家の人々はクリシュナと交際出来て、楽しくやっていらっしゃることでしょう。ゥツ ダヴァさん、どうか教えて下さい。マトゥラーの洗練された女性たちに囲まれていな がらも、クリシュナは時には私たちのことを思い出していて下さるでしょうか。マトゥ ラーの女性は、私たちのような田舎者ではありません。マトゥラーの女の人たちは洗 練されていますし、きれいです。マトゥラーの女の人たちの恥じらいに満ちた微笑み の視線や女らしい振舞いを、クリシュナはきっと楽しんでいることでしょう。クリシュナは美しい女の人の振舞いがいつも好きでした。ですからクリシュナはマトゥラーの 女性に心を奪われてしまったんじゃないでしょうか。ウッダヴァさん、どうか教えて 下さらないかしら。クリシュナは他の女の人に囲まれていても、私たちのことを時に は思い出してくれてるでしょ震うか」 

ゴーピーたちは言い合いました。 「クリシュナはクムダの花に囲まれた夜や、月の光のことを覚えてるかしら。クムダ に囲まれた夜のヴリンダーヴァンって、口では言えないほど美しいところなのよ。ク リシュナが私たちと踊ると、あたりに足の鈴の音がこだましたわ。それから私たちは 言葉を交わして、楽しい時を過ごしたわ。そのような夜のこと、クリシュナはまだ覚 えてるかしら。そんな夜のことが思い出されて、淋しくて淋しくてどうしようもない の。クリシュナと別れていると、心が揺れて、まるで体の中で炎が燃えているような 気持ちになってくるわ。雲が雨を降らせて山火事を消すように、クリシュナがヴリン ダーヴァンに帰って来て、私たちの炎を消してくれないかしら」 

「クリシュナは敵をたくさん殺し、そしてカムサの王国も勝ち取ったわ。クリシュ ナはもうどこかの王女様と結婚して、親戚や友だちと楽しく暮らしているかも知れな いわね。だからもう、クリシュナがこのヴリンダーヴアンの村に帰って来るなんて、夢のまた夢なのね」 

「クリシュナはバガヴァーンで、幸運の女神の夫で、そして自分の中で満ち足りて いるのよ◎クリシュナにとっては、ヴリンダーヴァンの森に住んでる私たちのことも、 マトゥラーの街の女の子のことも関係ないのょ。クリシュナは偉大なスーパーソゥruで、ヴリンダーヴァンもマトゥラーも、クリシュナにとっては全然関係ないのよ」 

「クリシュナがヴリンダーヴァンに帰って来るなんて、どうせ夢なのよ。かなうわ けなんてないわ。気が滅入れは滅入るほど、かえって気が落ち着くことってけつこう あるものよ・あの娼婦のピンガラーだって言ったでしょう、滅入ったときほど幸せだっ て。・・・そんなこと分かり切ってるけど、クリシュナが帰って来ることをどうして も期待してしまうわ。クリシュナは幸運の女神が欲しいわけでもないのに、幸運の女 神はいつもクリシュナの胸で休んでいるのょ。そんなクリシュナと二人きりで話し合っ たこと、どうして忘れられるの。ウッダヴァさん、ヴリンダーヴァンは川と森と牛の 村よ・このヴリンダーヴァンでは横笛の音がよく聞こえたわ。クリシュナがお兄さん のシュリー・バララーマと一緒に私たちとこの村の雰囲気を楽しんでたのょ。ヴリン ダーヴァンのこの雰囲気のせいで、私たちはいつもクリシュナとバララーマのことを 思い出してしまうの。クリシュナの蓮華の御足の跡がヴリンダーヴァンに残っていて、幸運の女神がヴリンダーヴァンに住んでいるわ。そんなことがいっぱいあって、私た ち、クリシュナのことが忘れられないの」 

ゴーピーたちはヴリンダーヴァンが富と恵みに満ちていることをさらに語りました。 ヴリンダーヴァンで物が不足することは決してありません。しかしそのような豊かさ の中でもゴーピーたちはクリシュナを忘れることが出来なかったのです。 

「クリシュナの歩く姿、クリシュナの微笑み、クリシュナの冗談、・・・私たちの 心がクリシュナの素敵な様子のとりこになってしまって、どうしても私たち、クリシュ ナが忘れられないわ。私たち、クリシュナのことでもう何もかも分からなくなって、 クリシュナのことが忘れられないわ。『愛しい主よ、幸運の女神の夫よ、ヴリンダー ヴァンの主よ、苦しめる献身者たちの救い主よ、私たちは悲しみの海に落ちて溺れて しまいました。ヴリンダーヴァンに帰って来て、この苦しみから哀れな私たちをお救 い下さい』っていつもクリシュナを求めて祈っているの」

ゥツダヴァは、クリシュナとの離別のためにゴーピーたちが超越的な異常状態に陥っ ているのを詳細に観察しました。ですからゥツダヴァはシュリー・クリシュナの遊戯 を何度も繰り返し語ったほうがいいと判断しました。物質的な人々は物質的な苦しみ の燃え盛る炎の中で苦しんでいます。ゴーピーたちはクリシュナとの離別の炎に焼か
れているのです。しかしゴーピーたちを激しく焦がしている炎は物質界の炎とは別の ものです。ゴーピーたちはいつもクリシュナとの交際を求めています。しかし、物質 的な人々は物質的な快楽を自分のために利用しようとしています。 

クリシュナは森の火事のとき、牧童たちが目を閉じている一瞬の間に牧童たちをお 救いになりました。ウッダヴァはそれと同じように、「目を閉じて、クリシュナと交 際した日々のことを最初から思い出せば、クリシュナとの離別の苦しみから救われる」 とゴーピーたちに言いました。ヴィシュヴァナータ・チャクラヴァルティー・ターク ルはウッダヴァがそのように語ったことを解説しています。ウッダヴァの言葉を聞い て、ゴーピーたちは外面的にはクリシュナの全ての遊戯を見、そして内面的にはそれ らの遊戯を思い出すことが出来ました。ゴーピーたちはウッダヴァの教えによって、 クリシュナと自分たちが離れているわけではないことを悟りました。ゴーピーたちが いつもクリシュナのことを考えていたので、クリシュナもまたマトゥラーで彼女たち のことを考えていらっしゃったのです。 

ゥツダヴァは、クリシュナとの離別のためにゴーピーたちが超越的な異常状態に陥っ ているのを詳細に観察しました。ですからゥツダヴァはシュリー・クリシュナの遊戯 を何度も繰り返し語ったほうがいいと判断しました。物質的な人々は物質的な苦しみ の燃え盛る炎の中で苦しんでいます。ゴーピーたちはクリシュナとの離別の炎に焼か
れているのです。しかしゴーピーたちを激しく焦がしている炎は物質界の炎とは別の ものです。ゴーピーたちはいつもクリシュナとの交際を求めています。しかし、物質 的な人々は物質的な快楽を自分のために利用しようとしています。 クリシュナは森の火事のとき、牧童たちが目を閉じている一瞬の間に牧童たちをお 救いになりました。ウッダヴァはそれと同じように、「目を閉じて、クリシュナと交 際した日々のことを最初から思い出せば、クリシュナとの離別の苦しみから救われる」 とゴーピーたちに言いました。ヴィシュヴァナータ・チャクラヴァルティー・ターク ルはウッダヴァがそのように語ったことを解説しています。ウッダヴァの言葉を聞い て、ゴーピーたちは外面的にはクリシュナの全ての遊戯を見、そして内面的にはそれ らの遊戯を思い出すことが出来ました。ゴーピーたちはウッダヴァの教えによって、 クリシュナと自分たちが離れているわけではないことを悟りました。ゴーピーたちが いつもクリシュナのことを考えていたので、クリシュナもまたマトゥラーで彼女たち のことを考えていらっしゃったのです。 ゴーピーたちはクリシュナとの離別のために今にも死にそうでした。しかしウッダ ヴァの教えとメッセージによって救われました。ゴーピーたちはウッダヴァの好意を 素直に受け取って、感謝しました。ウッダヴァは、ゴーピーたちに教えを授けるグルとして、彼女たちを教えたのですpそしてゴーピーたちはその返礼としてウッダヴァ をクリシュナのように崇拝しました。グルはクリシュナの非常に内密な召使なので、 

バガヴァーンと同じ段階で崇拝されるべきである、と権威ある教典で述べられていま す。そして偉大な権威者たちも、グルがクリシュナの外的な顕れであると受け入れて います。ゴーピーたちはクリシュナが自分たちと一緒にいることを悟って、超越的な 炎から救われました。ゴーピーたちは、内からはハートの中で主との交際を思い出す ことによって、外からはウッダヴァの明確な教えによって、クリシュナの真の気持ち を理解出来るようになりました。 

シュリーニヴァーサーチャーリャによれば、六人のゴースワーミーたちはいつもゴ ーピーたちの活動に心を没頭させていました。チャイタンニャ・マハープラブもまた、バガヴァーンの崇拝の方法に関してはゴーピーたちこそが最高であるとおっしゃって います。ゴーピーとクリシュナとの交際を正しい権威者から聞き、そしてその教えに 従う人は献身奉仕の最高段階に到達し、物質的快楽の欲望から解放される、とシュリ ーラ・シュカデーヴァ・ゴースワーミーもまた勧めています。 

ゴーピーたちはウッダヴァの教えによって心が慰められ、もう二、三日ヴリンダー ヴァンに留まるようにゥツダヴァにお願いしました。ウッダヴァはそれを快諾し、そ して二、三日ばかりではなく、数ヵ月間ヴリンダーヴァンに留まりました。ゴーピー たちはゥツダヴァとの交際の中で、いつもクリシュナの超越的なメッセージに心を没 頭させていました。ゴーピーたちはあたかもクリシュナと直接交際しているような気 分でした。ウッダヴァがヴリンダーヴァンにいた間、ヴリンダーヴアンの人たちはウッ ダヴァとの交際を楽しみました。彼らがクリシュナのことを話し合っていると、日々 は矢のように過ぎ去っていきました。ヴリンダーヴァンの自然の雰囲気・・・ヤムナ ー川、様々な果物に溢れた果樹園、ゴーヴァルダンの丘、洞穴、咲き誇る花々・・・、 ウッダヴァはこれら全てに心を喜ばせ、クリシュナの遊戯を語りました。ヴリンダー ヴァンの人たちは、あたかもクリシュナ自身と交際しているかのように、ウッダヴァ との交際を楽しみました。

ゴーピーたちがクリシュナに完全に愛着していたので、ウッダヴァはそのようなゴ ーピーたちの態度やクリシュナを求める彼女たちの熱意に大いに啓発されました。ウッ ダヴァはゴーピーたちに尊敬の礼を捧げ、そしてゴーピーたちの超越的な性質を讃え て、次のような歌を作りました。 「人間の体を受けた生命体の中で、ゴーピーたちが人生の使命を最高に完成させた。 ゴーピーたちの思いはクリシュナの蓮華の御足に没頭している。解放を授けるお方ム クンダでいらっしゃるクリシュナの膜想に偉大な聖者や聖人たちも没頭しようとして いるが、愛によって主を受け入れたゴーピーたちは、主への思いにもともと没頭して いて、ヨーガの訓練に頼る必要がなかった。ゴーピーの段階に到達した人は、主ブラ フマーとして誕生する必要はない。ブラーフマナの家庭に生まれる必要もない。そし てブラーフマナとして入門を受ける必要もない、と結論される」 

『バガヴァッド・ギーター」には、「正しい目的のためにクリシュナに保護を求め る者は、シュードラやそれ以下であっても、人生の最高目的を達成する」と記述され ています。シュリー・ウッダヴァもその『バガヴァッド・ギーター』と同じ内容を語っ ています。ゴーピーたちは全世界に献身奉仕の水準を設定しました。クリシュナのこ とをいつも思うことによってゴーピーの足跡に従う人は、精神生活の最高完成段階を達成することが出来ます。ゴーピーたちの中で高い教養を持つ家庭に生まれた者は いませんでした。彼女たちは牛飼いの家庭に誕生したのです。それにもかかわらず、 彼女たちはクリシュナヘの最高の愛を育みました。自己の悟り、神の悟りを得るため には、高い家庭に生まれる必要はありません。唯一必要とされることは、ただ神の愛 の枕惚が芽生えることです。クリシュナ意識の完成を達成するためには、至上の甘露、 全ての喜びの源であるお方クリシュナの愛情奉仕を常に行う他にはどのような資格も 必要とされません。クリシュナ意識を受け入れる効果は、ちょうど甘露を飲むような ものです。意識的に甘露を飲んでも、知らずに甘露を飲んでも、甘露は効果を発揮し ます。クリシュナ意識の効果はどのような魂にも現れます。人がどこでどのように誕 生したのかは問題ではありません。クリシュナはクリシュナ意識を受け入れた全ての 魂に恩恵をお授け下さるのです。そのことに疑いはありません。ゴーピーたちは牛飼 いの家に生まれたのですが、幸運の女神でさえも決して達成出来なかったような最高 の恩恵を手に入れることが出来たのです。天女の体からは蓮華の花のような芳香が漂っ ているのですが、ゴーピーが達成した恩恵は天に住むそのような人々にも得ることが 出来ません。ラーサリーラーのとき、クリシュナ自身が自らの手でゴーピーたちを抱 き締め、そしてくちづけをされました。ゴーピーたちはそれほど恵まれていたのです。

ゴーピーたちは牛飼 いの家に生まれたのですが、幸運の女神でさえも決して達成出来なかったような最高 の恩恵を手に入れることが出来たのです。天女の体からは蓮華の花のような芳香が漂っ ているのですが、ゴーピーが達成した恩恵は天に住むそのような人々にも得ることが 出来ません。ラーサリーラーのとき、クリシュナ自身が自らの手でゴーピーたちを抱 き締め、そしてくちづけをされました。ゴーピーたちはそれほど恵まれていたのです。

この三界でそのようなことを達成出来るのはゴーピーたちの他には誰もいません。そ のことに疑いはありません。 

ウッダヴァはゴーピーたちの崇高な立場を理解しました。そして、ひれふして彼女 たちの御足の挨を自分の頭にのせようとしました。ウッダヴァはゴーピーたちの足か ら直接挨をもらおうとしたわけではありませんでした。ゴーピーたちがそれを許して くれないかも知れなかったからです。ゴーピーたちに知られずに彼女たちの蓮華の御 足の挨を頭につけるために、ウッダヴァはヴリンダーヴァンの地に生える取るに足ら ない草になることを望みました。 

ゴーピーたちはクリシュナにあまりにも愛着していたので、クリシュナの横笛の調 べを聞くと、家、家族、子供、名誉、女としての恥じらいを全て捨て、クリシュナの 立っていらっしゃるところへと急ぎました。ゴーピーたちは、道もジャングルの中も 気にせずに通って行きました。ゴーピーたちが気づかないうちに、彼女たちの御足の 挨がヴリンダーヴァンの小さな草や薬草に与えられました。ゥツダヴァはその生涯の うちには、ゴーピーの御足の挨を自分の頭に直接置くことが出来ませんでした。です から彼は将来ヴリンダーヴァンの地の草や薬草となることを望んだのです。ゥツダヴァ はヴリンダーヴァンの草になって、ゴーピーたちの御足の挨を得ることが出来るでしよう

クリシュナを崇拝しているのは幸運の女神ばかりではなく、ブラフマーや主シヴァ などの崇高な神々も崇拝しています。そして偉大なヨーギーたちもハートの中でクリ シュナを膜想しています。自分たちの高く美しい胸をそのようなクリシュナの蓮華の 御足の下に置くことが出来たゴーピーたちがどれほど恵まれているかをウッダヴァは 知りました。ウッダヴァはゴーピーたちの蓮華の御足の挨を授かりたいと望みました。 ゴーピーたちがクリシュナを讃えて歌う超越的な歌は全三界で讃えられていました。 

ヴリンダーヴァンでの生活が二、三日たった後、ウッダヴァはクリシュナのところ に帰りたくなり、ナンダ・マハーラージとヤショーダーにいとまごいをしました。ウッ ダヴァは最後にゴーピーたちにも会い、彼女たちからも出発の許しを得て、馬車に乗 り込み、マトゥラーに向かいました・ 

ウッダヴァが今まさに出発しようとしていたとき、ナンダ・マハーラージやヤショ ーダーを筆頭とするヴリンダーヴァンの人たちが、ウッダヴァに別れの挨拶をしよう と出て来ました。そして、ヴリンダーヴァンに蓄えられていた様々な価値ある品々を 贈りました。ヴリンダーヴァンの村人たちは、クリシュナに対する筆舌に尽くせない 惜別の情のために、涙ながらにウッダヴァとの別れを惜しみました。村人たちはウシダヴァに恩恵を求めました。いつもクリシュナの栄光ある活動を覚えていられるよう に、そしていつも心がクリシュナの蓮華の御足からそれないように、自分たちの言葉 がいつもクリシュナを讃えていられるように、そしてクリシュナをいつも思いながら いつもクリシュナに尊敬の礼を捧げていられるように、と。ヴリンダーヴァンの村人 たちが捧げた祈りは、彼らの比類のない自己の悟りの段階を示しています。自己の悟 りの方法は簡単です。すなわち、心をいつもクリシュナの蓮華の御足からそらさない こと、ただクリシュナの話題だけを語って他の事は話さないこと、体をいつもクリシュ ナの奉仕に使うことです。特にこの人間という生命形態においては、私たちは自分の 生命、資産、言葉、知性を主の奉仕のために使わなければなりません。そのような活 動を行うことによってのみ、人は最高完成に到達することが出来ます。全ての権威者 がそのことを結論しています。 

ヴリンダーヴァンの住民たちは言いました。 「最高権威者の意志や自分たちの過去の行いによって、私たちはどこに生まれるか分 かりません。私たちはどこに生まれてもかまいません。私たちのただ一つの祈りは、 いつもクリシュナ意識を行っていられることだけです」 主クリシュナの純粋な献身者は自分の満足を全く求めないので、天界の惑星に昇進することも、ヴァイクンタやゴーローカ・ヴリンダーヴァンに行くことさえも望んで いません。純粋な献身者は天界も地獄も同じであると考えています。クリシュナがい なければ、天界も地獄です。クリシュナがいれば、地獄も天界です

ウッダヴァはヴ リンダーヴァンの純粋な献身者の崇拝を十分讃えた後、マトゥラーヘ、自分の主人ク リシュナのもとへと帰って行きました。主クリシュナとバララーマに尊敬の礼を捧げ た後、ウッダヴァはヴリンダーヴァンの村人たちの素晴らしい献身生活を語りました。 ウッダヴァはヴリンダーヴァンの人々からの贈物をクリシュナの父ヴァスデーヴァと、 クリシュナの祖父ウグラセーナに捧げました。

以上一グリシ『一ナ」第四十六章一ゴービーたちへのメッセージ」に関する痕クティ ヴェーダンタ解説終了。

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